コロナ禍の中元/百貨店「ネット通販への転換点か」

3密を避ける対策のもと、百貨店の中元商戦が開始された。透明シールドの配置や商品のパネル展示、ソーシャルディスタンスの取り組みなど、売り場が大きく変化したことでネット受注のサービスを充実させる動きが強まった。

ネットはこれまでも中元歳暮を牽引する存在だった。その傾向は新型コロナウイルスの影響により一層加速。シニア層をはじめ、来店派の顧客がネット注文に移行しはじめたからだ。これを機にEC事業に本格的に取り組んでいきたいと考える企業も少なくない。百貨店の接客にパラダイムシフトが起きつつある。

百貨店3社の企画・広報担当者に商戦の展望を尋ねた。

百貨店A社(東京都)「シニア層、増えるネット利用」

首都圏にあるA社の店舗が、5月末に営業時間を短縮して全館再開した。従業員の立ち合いのもと、入口、売り場でのアルコール消毒対策を強化し、来店客への声掛けを実施している。「快くご協力頂き、徹底した対策を講じることで、お客様との信頼関係が強まった、そんな印象を受けます」と語る。化粧品や食品売り場は徐々に客数を取り戻し、活気が出始めている。服飾関係は厳しい状況にあるが、通勤がはじまれば活気を取り戻すだろうと期待する。

中元商戦については、売り場での3密対策を徹底しつつ、ECサイトを強化。もともと少量を贈っていた人は抵抗なくネット注文に切り替えているが、現物を確認したいという要望も多くある。「どういう状況であってもお客様の意志を尊重することが大切。無理にネットを利用する必要もなく、来店頂ければしっかり対応させて頂きます」。

続きは2020年7月号(6/15発行)掲載

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