2025年の「大阪・関西万博」を控えて、関西では今ホテルの建設ラッシュが続いている。そんななか、名門「六甲山ホテル」を受け継ぎ、話題を集めているのが「六甲山サイレンスリゾート」である。
新たなオーナーは「八光カーグループ」取締役会長の池田淳八さん。同社はイギリスのアストンマーティンやイタリアのマセラティなど8つの高級ブラントを扱う輸入車ディーラー。まさに異業種からの参入である。
名門ホテルの歴史と事業を受け継ぎ、新たな息吹きを吹き込む一大プロジェクト。指揮する池田会長に、ホテル再生にかける思いや、八光カーグループならではの商品開発について尋ねた。
徹底した「SDGs」
「六甲山ホテル」が誕生したのは今から94年前のこと。2007年には「近代化産業遺産」に登録されるなど、多くの著名人や文化人に愛されてきた。ただ近年は老朽化も目立ち、往時の輝きが失われていく姿に寂しさを感じていたと話す池田会長。
その後、阪急阪神グループから事業譲渡を受けて「八光カーグループ」の一員になった。修復にあたって多くの設計事業者が「解体して新設するのが経済的」というなか、唯一「修復して次の世代に遺す」ことを提案したのが世界的なイタリアの建築家ミケーレ・デ・ルッキ氏だった。この場所を「六甲山復活のシンボルにしたい」とも考えていた池田会長はミケーレ氏に修復設計を託すことを決断する。
2023年12月号(11/15発行)掲載