土と炎が織りなす素朴な味わいの備前焼。長い歴史のなかで多くの名工を輩出し、これまで5人の作家が人間国宝(重要無形文化財)に指定されている。今回はそのお一人、故山本陶秀氏を祖父に持ち、作家として活躍する山本竜一さん(兄)、山本絵里子さん(妹)と、江戸時代に六姓のみが備前焼の製造を許された歴史をもつ「窯元六姓」大饗家の大饗利秀さんの三人に現在の備前焼をとりまく環境の変化や、長年人々に愛されてきた備前焼の魅力、これからの作品づくりについて尋ねた。
日本遺産にも認定
テレビの鑑定番組などでは毎回高値が付いて話題となる備前焼。茶陶(茶の湯で使うために作られた陶磁器)が主流だった時代から、だんだん現代のライフスタイルに合ったものへと変遷してきたと語るのは山本竜一さん。800年以上の歴史を誇る備前焼は、祭器や日用雑器から始まり、千利休や豊臣秀吉の時代には茶道具としての地位を確立。その後、山あり谷ありの時代を経ながらも、同じ作品がふたつとない唯一無二の存在感で多くの人を魅了している。
2024年10月号(9/15発行)掲載