仏事ギフトの動向「葬送儀礼の変革期における仏事返礼品の現在地」

故人を見送る葬儀、そして仏事返礼品の動向は、近年大きな変革期にある。6月4・5日、パシフィコ横浜で開催され、出展社数149社、葬祭事業者を中心に、前回を866人上回る1万2897名が来場した第28回「フューネラルビジネスフェア2025」(綜合ユニコム㈱主催)のメインテーマは『NEXT儀礼文化の継承とイノベーション』。アフターコロナから次のステップへ進む戦略立案に向けたさまざまな情報発信・交流の場となる総合展示会となった。

返礼品事情

矢野経済研究所によれば、2022年の返礼品市場規模は2352億円と推計されており、コロナ禍以前の2019年と比較して約12%の縮小。

市場縮小の背景の第一は、葬儀の小規模化・簡素化。核家族化、地域コミュニティの希薄化、価値観の多様化により、家族葬、一日葬、さらには通夜・告別式を伴わない直葬(火葬式)へと葬儀形式がシフトしている。これにより、会葬者の絶対数が減少し、結果として返礼品の需要も減少する。

第二に、香典辞退の増加。遺族の経済的負担軽減や、会葬者への配慮から、香典を受け取らない選択が増えている。これにより、香典返しとしての返礼品の必要性が低下する。また、「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)」によれば、葬儀費用の総額118・5万円のうち、返礼品費の平均は22万円。葬儀一件あたりの費用総額自体が減少傾向にあるため、返礼品に充てられる予算も当然縮小する。

 

2025年8月号(7/15発行)掲載

最新情報をチェック!