線香とお香、ろうそくとキャンドルの違い
「線香とお香の違いってなんだと思いますか?」展示会で取材中に聞かれてしばらく考えた。「用途ですかね」と答えると、「そうそう。ものはほぼ同じなんです」とのことだった。
線香は仏壇や墓参りの必需品で一定の長さと形状を持ち、煙の立ち上りや香りが「供養のしるし」として重視される。一方でお香は、古来より貴族文化のなかで嗜好品として扱われ、近代以降はアロマセラピーやリラックス目的の商品が「お香」として流通し、パッケージや香料の選択肢も豊富である。
ろうそくに関しても同様で、仏壇や墓前に供える「ろうそく」は、安定した燃焼時間と安全性、そして白を基調とした無装飾のものが主流であるのに対して「キャンドル」は、色や形、香りを備え、照明や装飾、リラックス効果を目的とする。
また、線香やろうそくは「必要だから買う」必需品であるのに対し、お香やキャンドルは「欲しいから買う」選択型商品だ。線香メーカーが香りや煙の少なさを工夫し、「現代の仏壇用線香」として差別化を図る一方で、同じ製造技術を応用して「インテリアお香」として市場を拡大する動きが見られる。
ペットの「手元供養」のかたち
2024年10月に実施された全国調査(㈱クロス・マーケティング)によれば、「ペットを飼っている世帯」は21%、「過去に飼っていた」が26%であり、合計すると47%がペット飼育の経験を持つ。飼育経験者のうち、「お葬式・お墓・供養サービスを利用したい」と答えた人は約4割に上る。
実際にペットが死を迎えた際の対応については、「敷地内に土葬」が32%、「ペット霊園で火葬・埋葬」が23%、「火葬して自宅で供養」が22%で、火葬を選択したケースは合計45%に達し、土葬と並び主流の方法となっている。さらに、別の調査(イオンライフ㈱)では「ペット霊園での火葬」や「移動火葬車での火葬」を合わせると75・7%が火葬を選んでおり、火葬が標準的な供養手段になりつつあるようだ。
2025年10月号(9/15発行)掲載