2026年頭インタビュー(前編)/ギフト・カレンダー業界の展望と方針

リンベル 東海林秀典 会長CEO「多様化するギフト市場に対応力を発揮」

2025年の業績に関しては、温暖化による生産量の減少や様々な値上げなど、市場全体を取り巻く環境は決して良い状況とは言えませんが、まずまずの進捗を示しています。2025年2月期の売上げもおかげさまで伸ばすことができ、今期も目標通りに推移しています。

法人案件は株主優待品や企業の福利厚生としてのギフト利用が増え、EC通販は昨年に開設したEC物流の効果で大きな伸びを示しています。これはご注文当日に出荷するというカタログギフト通販のサービス向上が功を奏していると考えます。


大和 川島豊 社長「選べる機能と情緒的価値で市場拡大」

創業以来「贈り物の本質」に向き合い、「贈る側の想い」と「受け取る側の喜び」をつなぐものとして、多くの返礼品やギフトシーンに関わってきました。贈る側の迷いを軽くし、受け取る側に選択の喜びを提供できるカタログギフトは優れた仕組みです。しかし、価値観や生活様式が変わる中で、従来の枠組みのままでは届かないものがあると感じていました。


全協 上野泰正 会長「うちわ・扇子はオールシーズン商品」

2025年は業界全体として製販共に数量・金額どちらも前年を下回る結果となりました。国内景気は一見順調のように見受けられますが、詳細を見ると、一部のAI半導体関連企業などが業績を伸ばしている一方、中小企業においては、資材・原料・運送費の高騰や、人件費のアップなど、変動費・固定費の上昇が続いています。営業面では、医療機器・医薬品関連の企業における販促規制の強化によって、カレンダー配布が中止されることの影響は無視できません。大口顧客においては相見積もりを取られる傾向があり、価格競争につながることが懸念されます。


JCAL 杉本庄吾 会長「経営の強靭化と創造力の強化で対応」

2025年の業界全体のカレンダーの販売状況ですが、壁掛けカレンダーでは数量は7%前後の減少、金額は値上げをお願いしたこともあって、約5%の売上げダウンとなりました。この数字から何を見てとれるかと言いますと、値上げをお願いしたにもかかわらず、それを凌駕して値上げでカバーしきれないほどの数量ダウンを招いてしまったということです。結局、業界全体では減収減益の会社が多く出ました。

値上げの年は5%くらい減少幅が上振れしますが、それよりも減少幅が大きかったのは、クアラルンプール原則(※医療関係者と患者の関係に関する倫理的ルール。医療関係者への贈答品提供は取り止めることなどを規定)の影響が要因の1つではないかと考えています。

 

2026年1月号(12/15発行)掲載

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