3月末、政府は新型コロナウイルスの重症患者の増加に備え、人工呼吸器メーカーに増産を要請するなど緊迫度は日を追うごとに高まっている。都内はもとより全国のギフト関連業者やメーカーの間では、時短、時差出勤、自宅でのテレワーク、ネット会議、営業の出張自粛などの対策が講じられた。
ギフト業界は、かつて経験したことのない未知の領域を歩んでいる。感染から身を守りながら売上げを確保するという難しい舵取りを迫られているのだ。以下、新型コロナの影響と対策をギフト専門店、百貨店、ギフト問屋、メーカー、カレンダー業者に緊急アンケ—ト取材をした。
ギフト専門店/ネット販売店「前年上回る」売上げ
冠婚葬祭行事の中止・縮小が8割
限定的だが本誌読者のギフト専門店20数社に商況に関する緊急アンケートと電話取材をした。(3月上旬から中旬にかけての実施で、その後の東京都や世界の感染拡大により、これらの数字及び緊迫度は数段増していることを考慮されたい)
【Q1】1〜3月の売上げ「前年を下回りそう約70%」
最も多かった「前年を下回りそうだ」が69%。およそ想定内だが、「前年を上回っている」販売店が2社あった。この2社はどちらもネット販売が中心のギフト店で、コロナウイルス問題で在宅を強いられている消費者がネット販売に一層目を向け始めた事情が背景にあると推測される。いわゆる巣ごもり消費に適応した販売店といえよう。
「前年を下回りそうだ」に回答したギフト店は、そのニュアンスには幅がある。「5%の減少」「若干下がるが、ポイントシステムなど新事業の成果でプラスマイナスゼロあたり」「3月に法事のキャンセルが20件発生。それだけで月100万円の減少」などの意見が寄せられた。
前掲のネット販売中心のギフト店がすべて「前年を上回っている」とは限らない。トップクラスのネット売上げで知られるギフト店は、「前年と変わらない推移」と回答した。ゴルフコンペなどの減少で売上げがマイナスになった反面、百貨店ユーザーがネット購買に回り、マイナス分をカバーする動きが生まれ、プラスマイナスゼロという判断だ。今回のウイルス問題では特にコロナ特需は発生していないとみる。
「その他」に回答した1社は、「3月に入り、前年比50%減になっている」と報告している。国や地方公共団体の自粛要請がギフト店の営業活動を直撃し始めたようだ。
続きは2020年5月号(4/15発行)掲載