大量生産・大量消費が主流だった時代を経て、特に若い世代の間ではサステナビリティへの意識が高まり、安価で使い捨てにしがちな商品よりも、丁寧に作られた高品質なものが求められている。職人の技術によって一つ一つ丹念に作られ、長く愛用できる伝統工芸品は、環境負荷を減らす観点からも再評価されている。
その良さを改めて見つめ直し、新たな形で未来へとつなげていく動きが、今、ますます広がっている。
1716年創業の老舗で、日本各地の伝統工芸品を現代のライフスタイルに合う形で提供することで、新しい需要を生み出している㈱中川政七商店(奈良市、中川政七会長)が日本の〝いいもの〟と〝いい伝え手〟を繋ぐ場として開催した「大日本市」(2月12〜14日、EBiS303)には、伝統工芸品やオーガニック製品、サステナブルでユニークな商品が並んだ。
かつては一部の愛好家の間で楽しまれていた伝統工芸品も、SNSの発展により広く認知されるようになり、InstagramやYouTubeでは職人の作業工程や製品の魅力が動画や写真で共有され、多くの人々が関心を寄せている。これにより、「職人のこだわり」や「製品が生まれる背景」などのストーリーが可視化され、若い世代の共感を呼んでいる。
2025年4月号(3/15発行)掲載