【団扇扇子】商況インタビュー

(株)平井星光堂 平井孝治 社長「金額増えるも、数量戻らず」

今年の夏物商材の販売は、昨年と同じく金額ベースでは悪くありませんでしたが、数量ベースでコロナ前に戻ったかと言えば、そうはならなかった。金額は増えていることは増えているが、思ったほど伸びませんでした。今年は早く暑くなったし、ライバル商品のハンディーファンが事故を起こしたことから、団扇業界にフォローの風が吹いていたはずなのですが、なぜだろう。

一昨年、昨年、今年と3年連続の値上げも影響しているかもしれないですね。当社の話で言えば、昨年は100万本の大口受注があったが、今年は注文が飛んでしまいました。1本につき5円の値上げとなると、全体で大幅な値上げになります。いくら大きな会社でもなかなかウンとは言わないでしょう。その案件が飛んでも当社としては悪くない状態を保つことができたが、数量は思ったほど出なかったですね。

(株)伏見上野旭昇堂 上野泰正 社長「人流、インバウンドが復活」

今年は年初よりコロナの影響はなくなって来ました。大きく変わったのは、いわゆるデフレからインフレに向かいつつあることです。うちわ・扇子で言いますと、コロナの時の3年間は、人流が動きませんでした。特にうちわがそうですが、夏祭りや花火大会の催し物がないと動かない商品なので、それが完全に復活してきました。

もう一つの変化はインバウンド、外国人を中心とした観光需要の復活です。これによって夏のうちわ・扇子は去年あたりから復調傾向にあります。観光需要なので500〜1000円の低単価のものはもちろん売れていますが、それに限らず5000〜1万円の京うちわ・高級扇子も、例年のペースを上回る勢いで注文が増えています。百貨店でも高価な京扇子などが近年にない売れ行き(前年比110〜120%)を示しています。これには円安の影響もあり、外国人から見れば無茶苦茶安いということなのかもしれません。

 

2024年9月号(8/15発行)掲載

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