「余ったコスメから画材が生まれる」と最初に記者が知ったのは約2年前。自分の引き出しの中にも残ったアイシャドーやチークといったカラーコスメはたくさんあったので、妙に心に引っかかりいつか取材をしたいと願っていた。コロナが少し落ち着いた3月、ようやくインタビューの機会を得て、㈱モーンガータ(東京都練馬区)代表、田中寿典氏を訪ねた。
使い切れないコスメの悩み
田中氏は以前、大手化粧品メーカーの研究職に従事し、カラーコスメの開発を担当していた。カラーコスメのレシピの開発・原料の調達にも携わる中で、いくつかの懸念が湧き上がった。原料であるセリサイトという鉱物は、枯渇してきているという話がある一方、カラーコスメは最後まで使い切らず捨ててしまう、というユーザーの声は多く、化粧品会社の行ったアンケートによると一人平均7・4個のコスメが自宅で眠っているという結果が出た。
2022年6月号(5/15発行)掲載