これからの日本経済を支える主要な産業のひとつとして期待される農業。今回お邪魔した果樹園は、有田みかんの生産者として「生産・加工・販売」の6次産業化や果樹経営の手腕が評価され、「農林水産大臣賞」をはじめ、数々の受賞歴を誇る和歌山県を代表する企業である。
元々はみかん農家(生産者)7戸が立ち上げた会社で、最初から6次産業化を目指して始めたというより、「やっていたことが実は6次化だった」と話すのは代表取締役社長の秋竹俊伸さん。異常気象や担い手不足といった農業本来の課題があるなかで、秋竹社長は「みかん1個の価値を高める」経営で農業の可能性を高め続けている。
きっかけは傷だらけのみかん
現在、「加工と生産」の比率が「8対2」という早和果樹園。日本の農業法人のなかでも加工が主になる所は珍しいという。その加工に大きく舵を切るきっかけとなったのが、2000年初めに起こった価格の大暴落や異常気象による出荷できない傷だらけのみかんの発生だった。そのみかんを試しに搾ってみたところ、とても美味しく「100%ストレート果汁のジュース」加工を始めるきっかけになったという。
最高ランクの品質管理
そこからの早和果樹園は、もちまえの経営手腕によって、さらに6次化を進め、事業規模を拡大していく。自前主義でみかんを加工している同社にとって、品質管理や衛生管理は必須課題。そこで友人の食品加工業者に品質管理の現場を見せてもらい、プレハブ小屋を作って自前で品質管理をスタートさせる。今では国際的な認証「FSSC22000」も取得し、安心・安全な商品をお届けする体制は盤石だ。
2025年2月号(1/15発行)掲載